誰も語らなかった中原中也
PHP研究所 2007年5月 800円+税

■目次
序章

第一章 濫觴!中原中也――喪失、そして黙示の秘技
    夢の伝承
    最初の喪失
    中学時代の歌
    ダダイズムとの出会い
    関東大震災がもたらした幸運
    「口惜しき人」の真情吐露
    詩人の出立を告げる「朝の歌」
    内面の懊悩が文体を磨く
    前衛的音楽集団「スルヤ」
    詩人としての豊饒の秋
    同人誌「白痴群」の創刊
    切実な求愛と祈り
    満州事変、世界恐慌という時局
    宮沢賢治を彷彿とさせる詩
    弟恰三の死と魂の交感
    喪失がもたらした詩の変革
    孤独の告白
第二章 新説!中原中也――武藝人宮本武蔵への道
    若山牧水と中原中也
    高森文夫と中也の出会い
    『直毘霊』の精神と「憔悴」の詩法
    世間と詩の道理のジレンマ
    宮本武蔵のような男
    武蔵の「独行道」を唱えていた中也
    人生に座るべき椅子を求めて彷徨う
    詩道としての「独行道」
    「一本の手綱」をはなさず
    卓越した話術
    高森との京都旅行
    詩集『山羊の歌』の編纂
第三章 動乱!中原中也――魂の危機を救ったものは…
    友情の蜜月時代
    昭和七年八月の九州旅行
    詩人としての高森文夫
    高森兄弟と三人の共同生活
    祖母スエの死
    魂の動乱時代
    小林秀雄という恋敵
    たった一人のカーニバル
    神経衰弱症状の再発
    恐ろしく孤独な詩人
    結婚、そして『ランボオ詩集』刊行
    「道化の臨終」の危険な七五調
    竹田鎌二郎への手紙と「道徳論」
    新たな生命の誕生が死を
    処女詩集『山羊の歌』の刊行
第四章 発見!中原中也――青春のように悲しかった
    中也が訪れた山村東郷村
    高森文夫の来歴
    弟、高森文夫
    「私の弟は、中原の被害者ですよ」
    もうひとりの中原中也
    新発見!高森文夫の葉書
    署名本『山羊の歌』第「六」番の意味
    「麦の藁束」に寝転ぶ中也の写真
    「俺と二人で製材所をやろう」
    中也東郷村来訪三回説
    人舟旅館のおもかげ
    「萱」ではなく「麦の藁束」
    身長「四尺六寸五分」
    顔も柄もランボーそっくり
    中原中也「頭像」
    「孟夏谿行」は東郷村で書かれた
    愛唱「春の日の歌」の舞台
    「雪の賦」と二・二六事件
    中也と高森の詩の比較研究
    友情溢れる推薦文
    詩人であることの矜持
第五章 哀傷!中原中也――芭蕉、蛙声の意味するもの
    中也が語っていた芭蕉の生き様
    「もののあわれ」を表現した「修羅街輓歌」
    月と蛙をテーマにした作品
    蛙とは俗人の象徴か?
    小林秀雄への屈折した想い
    もう一人の自分との対話
    安原喜弘が語った「魂の動乱」の理由
    愛児喪失の予感
    時代の奔流を予感させる詩
    神経症治療と思索の日々
    求道者の到達点
    動乱の後の蛙の鳴き声
    優れた詩人の感性は時代を映す鏡
    島木健作との交流
    蛙声が意味していたもの

参考文献


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