結社とは何か。一つの目的をもった者同士が相集う、目的実現のための熱い結合体だ。
 かつて詩歌が、日本の文学運動を果敢にリードした時代があった。詩歌が近代浪曼主義運動を推進させ、詩歌の時代を現出せしめたのである。与謝野鉄幹編集従事する「明星」であった。言いかたを変えれば、〈東京新詩社〉という、詩歌啓蒙を目的として結成された、商業主義とは無縁の、一結社の一機関紙(誌)が、明治三十年代という文藝復興期のアンヴィヴァレンツに富んだあの時代を担ったのである。
 短歌を短歌結社の中に埋没させてしまってはならない。
 要は本来的結社を目差すのだ。ひとりひとりがおのれのリズム、おのれの文体を獲得していってもらいたいと思う。
 安易に群れるのではない。おのれの根に深く降りたち、おのれの歌声を上げるのだ。そして戦うために群れるのだ。
 ますます過激になってゆかざるをえまい。
 浪曼とは、情であり、志であり、歌である。
 同志よ、来たれ! 願わくば、境界さだかならぬ乳白の闇覆う時代を刺し貫く、熱き一条の月光たらんことを。

1988年2月5日
月光の会主宰 福島泰樹 季刊月光創刊号より

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